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JAPAN OIL STOCKPILE

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あと何日、日本は持つのか。日本の石油備蓄をリアルタイム可視化

高校生向け

石油備蓄をデータで探究する探究学習ガイド

「日本の石油備蓄はあと何日分か」という数字は、定義と前提を知ってはじめて正しく読めます。公表データの読み方、備蓄の制度、供給ルートのリスクを整理し、探究の問いにつなげます。

01「備蓄日数」という数字の読み方

基本の式

備蓄日数=備蓄量÷1日あたりの推定消費量

公表値
資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」の速報値。集計した日と公表される日がずれる(最新は 2026年10月16日 集計、2026年10月19日 公表)。
推計値
このサイトのカウンターは、公表値から集計日以降の経過日数を引いた推計。「1日たつと1日分減る」と仮定しており、実際の在庫を秒単位で観測しているわけではない。
換算の前提
量に直すときは、1日あたりの消費量を約28万kLとして計算している。前提を変えれば結果も変わる。
最新の公表値(2026年10月16日 集計。単位は日分)
国家備蓄102
民間備蓄93
産油国共同備蓄5
合計200

内訳の日数はそれぞれ端数を丸めた値なので、足し合わせても合計と1〜2日ずれることがある。

数字を引用するときは、公表値か推計値か、いつの時点かを必ず書き分ける。

02制度:3つの備蓄と国際的な義務

国家備蓄
政府が所有する備蓄。国内10カ所の国家石油備蓄基地などに原油や石油製品として保管し、国家的な危機のときに放出する。
民間備蓄
元売会社・精製会社に、法律で一定量の保有を義務づけている在庫。精製や販売の経路での緩衝にもなり、日常の流通の調整にも機能する。
産油国共同備蓄
UAE(アブダビ)やサウジアラビアなどの国営石油会社に日本のタンクを貸し、原油を置いてもらう枠組み。平時は相手国が商業目的で使い、供給が細ったときは日本に優先して供給される合意になっている。

日本は国際エネルギー機関(IEA)の基準により、90日分の備蓄義務を負っている。ただし、この90日分は前年の純輸入量を基準にしたIEAの数え方による日数で、「01」の表(石油備蓄法の数え方)とは計算のしかたが違う。同じ備蓄でも、IEAの数え方では日数が少なめに出る。

過去の放出の例

放出は、民間備蓄の義務日数の引き下げや、国家備蓄の売り渡しで行う。IEA加盟国による協調放出のほか、日本が独自に決めたものもある。

  1. 1979年第2次石油危機。各社の申し出に応じて、民間の義務日数を減らす(5〜25日)
  2. 1991年湾岸戦争。IEAの協調放出。民間の義務日数を4日分引き下げ
  3. 2005年ハリケーン「カトリーナ」。米国の石油施設の被害を受けたIEAの協調放出。民間の義務日数を3日分引き下げ
  4. 2011年3月東日本大震災。日本が独自に決定。民間の義務日数を2段階で計25日分引き下げ
  5. 2011年6月リビア情勢の悪化。IEAの協調放出。民間の義務日数を3日分引き下げ
  6. 2022年ウクライナ危機。IEAの2度の協調放出。制度開始(1978年)以来初めて、国家備蓄も放出
  7. 2026年中東情勢(ホルムズ海峡の通航支障)。IEA史上最大規模の協調放出で、民間・国家・産油国共同の3つの備蓄すべてから放出。5月上旬からは国家備蓄の第2弾

03供給ルートのリスク:ホルムズ海峡と迂回路

平時のホルムズ海峡は、日量約2,000万バレル(世界の石油消費の約5分の1。2024年の平均)が通っていた。

サウジアラビアには、ホルムズ海峡を通らずに紅海側へ原油を送る東西パイプライン(全長 約1,201km)がある。ただし最大能力は日量700万バレルで、すべてを迂回させることはできない。平時から通常の送油にも使っているため、米国エネルギー情報局(EIA)は2025年に、迂回に回せる能力をサウジアラビアとUAEのパイプラインを合わせて日量約260万バレルと見積もっていた。

迂回路そのものも攻撃を受ける。このパイプラインは2026年9月10日に複数回の無人機攻撃を受け、予防措置として運転を止めた。9月22日に運転の再開が報じられ、10月6日朝の時点の送油量は日量580万バレルとされる。ホルムズ海峡は、2026年3月2日にイランが封鎖を発表して以降、通航に支障が出ている。9月末から商船への攻撃が増えている。10月13日には、海峡を通っていたシンガポール船籍のコンテナ船が炎上し、沈没した。原因は報道によって異なる。(2026年10月16日時点の報道による)

「別の道がある」ことと「代わりが利く」ことは同じではない。迂回路には容量の上限があり、その先にも別の難所がある。供給が細っても暮らしを止めないための時間を買うのが、備蓄の役割である。

ルートの解説と出典をくわしく読む(石油のものさし「まもる」)

コラム産油国は原油高で得をするのか — 米国とサウジアラビアの比較

「産油国は原油高の影響を受けない」という直感は、国によって当てはまり方が違う。米国は生産量が世界1位だが原油高で国内のガソリン価格が上がり、サウジアラビアは原油高が政府の収入増になりやすい。なぜ分かれるのかを、データで確かめる。

米国: 生産は世界1位だが、消費も世界1位

米国の石油の需給(米国エネルギー情報局 EIA)
項目値時点
石油の生産量(原油・その他の液体・バイオ燃料を含む)日量 約2,191万バレル(世界の約22%・1位)2023年
石油の消費量日量 約2,001万バレル(世界の約20%・1位)2022年
石油全体(原油+石油製品)の輸出入輸出 約1,015万/輸入 約851万バレル(日量 約164万バレルの純輸出)2023年
原油だけの輸出入輸出 約406万/輸入 約648万バレル(輸入のほうが多い)2023年
ガソリンの小売価格に占める原油の費用51.7%(2025年は51.4%)2016〜2025年の平均
  1. 1. 価格は世界市場で決まる

    原油価格は世界全体の需給で決まる。EIAは石油市場を「世界規模の競り」にたとえている。米国の生産者も国際価格で売るため、国内で生産していても、国内の価格だけが低く保たれるわけではない。

  2. 2. 採れる原油と、製油所が求める原油が合わない

    米国で多く採れるのは軽質・低硫黄の原油だが、製油所の多くは重質・高硫黄の原油を処理する設計になっている。重質・高硫黄の原油は割安なことが多い。このため、原油を輸出しながら輸入も続けている。

  3. 3. 小売価格の最大の要素は原油

    ガソリンの小売価格の最大の要素は原油の費用で、およそ半分を占める。ロシアのウクライナ侵攻が原油高の一因になった2022年には、レギュラーガソリンの全米平均が6月に1ガロン5.01ドル(1Lあたり約1.32ドル)に達した。年平均は3.95ドル。

サウジアラビア: 使う量の約3倍を生産し、国内価格を抑えている

サウジアラビアの石油と財政(出典は下の一覧)
項目値時点
石油の生産量日量 約1,113万バレル(世界の約11%)2023年
石油の消費量日量 約365万バレル(世界の約4%)2022年
政府の収入に占める石油約60%(前年は約62%)2024年
ガソリンの上限価格91オクタン 1L 2.18リヤル(約0.58ドル)、95オクタン 2.33リヤル。上限を超える分は政府が負担2021年7月〜(2026年10月も同じ価格)
財政の収支が合う原油価格(IMF)1バレル 約95ドル(2025年の見通しは約91ドル)2023年(2024年11月時点のデータ)
財政収支(IMF)GDP比 -5.8%(2025年)、-3.7%(2026年の見通し)2026年7月の発表
  1. 1. 売る量が多い国は、値上がりが収入になる

    生産量は消費量の約3倍(米国は約1.1倍。生産と消費で年が違うので、めやす)。余った分を輸出するので、原油高は輸出の収入を増やす。政府の収入の約60%が石油なので、財政にも直接効く。

  2. 2. 国内価格は政府が抑えている

    ガソリンは2021年7月から上限価格つきで、上限を超える分は政府が負担する。国際価格が上がっても、国内の小売価格には伝わりにくい。米国の2022年6月の1Lあたり約1.32ドルに対し、サウジアラビアの上限は約0.58ドルである。

  3. 3. 弱点は、安値と輸送

    IMFの2024年11月時点のデータでは、財政の収支が合う原油価格は2023年に1バレル約95ドル。価格がそれを下回れば、財政は赤字になる計算である。輸出のルートが止まれば、価格が高くても収入にならない(上の「供給ルートのリスク」を参照)。2026年は輸出量が減ったが、IMFは2026年7月に、東西パイプラインへの振り替えで落ち込みが抑えられ、原油高が量の減少を上回って石油収入は増えたと発表した(その東西パイプラインも、後の2026年9月10日に攻撃を受けて一時止まった)。それでも2026年の財政収支はGDP比3.7%の赤字の見通しである。

日本の立場:米国は「使う量が多い産油国」、サウジアラビアは「売る量が多い産油国」。日本は原油の99.7%を輸入に頼る「買う国」で、原油の代金を国の外に支払う側である。同じ原油高でも、だれが得をしてだれが負担するかは、国によって違う。

探究の問いの例

  • 原油高は、米国の経済全体にとってプラスかマイナスか。生産者と消費者、産油地域とそれ以外に分けて考える。
  • 米国が石油全体の純輸出国になった2020年の前後で、原油高がガソリン価格に与える影響は変わったか。
  • サウジアラビアが国内のガソリン価格を抑えることには、どんな利点と費用があるか。上限を超える分をだれが負担しているかに注目する。
  • 日本が原油の輸入先を多角化しても、国際価格の上昇の影響は避けられるか。備蓄は価格の上昇に対して何ができて、何ができないか。

出典(英語のページ)

サウジアラビアへの攻撃や、原油の値段と日本への影響を、中東の専門家が解説している番組です。

【加速する中東危機】なぜサウジアラビアへの攻撃激化/米イラン情勢の代理戦争なのか?/フーシ派の思惑とイエメン内戦/原油価格と日本への影響/中東イスラム版NATOは機能するのか(YouTube・別タブで開きます)

PIVOT 公式チャンネル・2026年10月15日公開・約19分/解説: 保坂修司氏(早稲田大学研究院教授)

番組は専門家 1 人の見方です。ニュースや政府の資料、このページの数字とも見比べながら考えてみましょう。

04脱炭素への移行と備蓄

電気自動車や水素燃料の普及が進んでも、化学原料、航空、大型の貨物輸送、船舶、非常用の火力発電、灯油など、多くの分野がいまも石油に支えられている。移行期には、供給が乱れたときの緩衝として、備蓄の役割はむしろ重くなる。

05探究の問いの例

問い・使えるデータ・進め方の組み合わせで考える。

問い使えるデータ進め方
備蓄日数の増減は、どの種類の備蓄が動かしているか備蓄日数の推移(国家・民間・産油国共同の内訳つき)期間を区切って内訳ごとの変化量を出し、合計の変化に占める割合を比べる
ガソリン価格が大きく動いた時期に、何が起きていたかガソリン価格の推移(1990年〜)と補助単価価格の変化が大きい時期を取り出し、その時期の出来事(税制・補助・国際情勢)と対応づける
迂回路は、ホルムズ海峡の通航支障をどこまで補えるか通航量とパイプラインの能力(このページの「供給ルートのリスク」)不足する量を日量で見積もり、備蓄の何日分にあたるかを計算する。前提を明記する
放出した備蓄を元に戻すには、何が必要か備蓄の積み増しに関する解説と出典(石油のものさし「まもる」)「日々の需要をまかなったうえで余る分」が生まれる条件を整理し、複数の見通しを出典つきで比べる

06データの引用のしかた

  • 一次資料(資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」)を先に確認する。
  • このサイトの数値を使うときは、サイト名・URL・閲覧日を書く。
  • カウンターの値は推計である。公表値と区別して書く。
  • 報道や発言を引くときは、誰が・いつ・どこで述べたかを出典つきで書く。数ある見通しの一つとして扱う。

計算方法と限界・出典(このサイトについて)

先生方へ

このページは、探究学習の題材として使えるよう、「石油のものさし」の内容をデータの読み方から整理したものです。数値はすべて、資源エネルギー庁の公表値と、サイト内に出典つきで掲載している解説にもとづきます。非公式サイトであり、正確性・完全性を保証するものではありません。授業で使う際は、一次資料とあわせてご確認ください。

出典:資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」(外部サイト・別タブで開きます)

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