ホルムズ海峡と日本の石油
ホルムズ海峡が使えなくなったら、日本の石油はどうなるのか。備蓄は何日もつのか。日本の依存度、備蓄の持ち方、迂回路で補える量を、出典と時点つきでまとめました。
結論:影響は大きい。備蓄・迂回路・中東以外の調達で補える量は、止まる量と期間しだい
- 2025年実績で、日本の原油輸入の約94%は中東からです。ホルムズ海峡の通航に支障が出ると、輸入に大きく影響します。
- 備蓄は、経済産業省の公表値(2026年10月20日集計時点)で合計203日分です。輸入がすべて止まり、1日あたりの推定消費量と同じ量を使い続けると仮定した目安です。
- 海峡を通らずに運ぶ手段は、パイプラインの余力(EIAの2025年6月の見積もりで通航量の約13%。迂回路だけで全部を運ぶのは難しい見通し)と、中東以外からの調達(2026年5月12日時点の見込みで、実績は未確認)です。2026年の報道では東西パイプラインの送油量がこの見積もりの能力より多いとされ、余力は変わっている可能性があります。
実際にどれだけ足りなくなるかは、止まる量と期間、備蓄・迂回路・中東以外からの調達・需要の抑制がどこまで働くかによるため、このページでは見通しを断定しません。
出典:経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保及び重要物資の安定的な供給確保の対応状況」(中東情勢に伴う重要物資の安定的な供給確保のためのタスクフォース 資料1)(外部サイト・別タブで開きます)(2026年5月12日。数字は4・5ページ)、米国エネルギー情報局(EIA)「Amid regional conflict, the Strait of Hormuz remains critical oil chokepoint」(外部サイト・別タブで開きます)(2025年6月16日)、資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」(外部サイト・別タブで開きます)(2026年10月20日集計時点)
2025年実績で、日本の原油の約94%が中東産
経済産業省の資料では、2025年の日本の原油輸入は日量236万バレルで、うち中東は222万バレル(約94%)です。
ホルムズ海峡を通る石油は、世界でも大きな量です。EIAによると、2024年の平均で日量約2,000万バレル(世界の石油消費の約20%、世界の海上石油貿易の4分の1超)で、中国・インド・日本・韓国の4か国で海峡を通る原油・コンデンセートの69%を受け取っています。IEAは、2025年の平均も日量2,000万バレルで、世界の海上石油貿易の約25%としています。
出典:経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保及び重要物資の安定的な供給確保の対応状況」(中東情勢に伴う重要物資の安定的な供給確保のためのタスクフォース 資料1)(外部サイト・別タブで開きます)(2026年5月12日。数字は4・5ページ)、米国エネルギー情報局(EIA)「Amid regional conflict, the Strait of Hormuz remains critical oil chokepoint」(外部サイト・別タブで開きます)(2025年6月16日)、IEA「IEA Member countries to carry out largest ever oil stock release…」(外部サイト・別タブで開きます)(2026年3月11日)
備蓄は3種類。日数は最新の公表値で
| 種類 | 日数 |
|---|---|
| 国家備蓄 | 102日分 |
| 民間備蓄 | 96日分 |
| 産油国共同備蓄 | 5日分 |
| 合計 | 203日分 |
国家備蓄は国が、民間備蓄は石油会社が持ち、産油国共同備蓄は産油国の原油を日本のタンクに置くものです。2026年3月には、IEAの協調放出に合わせて日本も放出を決めています(経過は「石油備蓄の放出の歴史」、基地は「国家石油備蓄基地の一覧と地図」、IEAの日数での各国との比較は「日本の石油備蓄は世界一?」)。
出典:資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」(外部サイト・別タブで開きます)(2026年10月20日集計時点)、IEA「IEA Member countries to carry out largest ever oil stock release…」(外部サイト・別タブで開きます)(2026年3月11日)
迂回路で補えるのは、通航量の一部。中東以外からの調達もある
EIAは、サウジアラビアとUAEのパイプラインで海峡を迂回できる余力を、日量約260万バレルと見積もっています(2025年6月)。通航量(日量約2,000万バレル)の約13%にあたります(本サイトの計算)。EIAは、パイプラインが平時は全力では動いていないことを前提に、この余力を見積もっています。IEAも、迂回の選択肢は限られるとしています(2026年3月11日)。2026年の報道では東西パイプラインの送油量がこの見積もりの能力より多いとされ、余力は変わっている可能性があります。
| 迂回路 | 能力(日量・万バレル) | ようす |
|---|---|---|
| サウジアラビア 東西パイプライン(紅海側のヤンブーへ) | 500 | 東部から紅海側へ原油を送り、ホルムズ海峡を通らずに積み出します。2019年に一時的に日量700万バレルへ増強されました。ヤンブーの先にはバブ・エル・マンデブ海峡があります。 |
| UAE パイプライン(オマーン湾側のフジャイラへ) | 180 | ホルムズ海峡の外側のフジャイラから積み出します。 |
経済産業省の資料(2026年5月12日時点)には、前年同月並みの生産に必要となる原油量のうち、5月分は約6割、6月分は約7割以上を、中東以外から代替調達できる見込みとあります(日本の原油輸入に占める中東の割合とは別の数字です)。見込みの数字で、5月・6月はすでに過ぎた月ですが、その後の実績は確認できていません。
もう一つの道は、アフリカ南端の喜望峰を回る航路です。紅海やスエズ運河を避けて日本へ運ぶ場合の道で、距離が伸びます。日数や費用がどれだけ増えるかは、公的な資料で数字を確かめられなかったので載せていません。
政府は2026年10月13日に、ホルムズ海峡(政令で指定する想定)を避ける輸送の費用をJOGMECが交付金で支える内容を含む法案(原油等調達多角化法案など3法案)を閣議決定しました。国会での審議はこれからで、成立するかは決まっていません。(これから決まることに予定表があります)
出典:米国エネルギー情報局(EIA)「Amid regional conflict, the Strait of Hormuz remains critical oil chokepoint」(外部サイト・別タブで開きます)(2025年6月16日)、IEA「IEA Member countries to carry out largest ever oil stock release…」(外部サイト・別タブで開きます)(2026年3月11日)、経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保及び重要物資の安定的な供給確保の対応状況」(中東情勢に伴う重要物資の安定的な供給確保のためのタスクフォース 資料1)(外部サイト・別タブで開きます)(2026年5月12日。数字は4・5ページ)、経済産業省「原油等の安定的な輸送の確保のための指定水路の利用の合理化に関する法律案」ほか2法案の閣議決定(外部サイト・別タブで開きます)(2026年10月13日)
報道によると、いまの状況は
次の2つは、公的資料ではなく報道をもとにした内容です(2026年10月16日に報道と突き合わせました)。状況は動いているので、最新の報道もあわせて確かめてください。
ホルムズ海峡は、2026年3月2日にイランが封鎖を発表して以降、通航に支障が出ています。9月末から商船への攻撃が増えています。10月13日には、海峡を通っていたシンガポール船籍のコンテナ船が炎上し、沈没しました。原因は報道によって異なります。
東西パイプラインは2026年9月10日に複数回の無人機攻撃を受け、予防措置として運転を止めましたが、9月22日に運転の再開が報じられました。サウジアラビアのエネルギー相は、10月6日朝の時点の送油量が日量580万バレルに達したと述べています。
出典:ジェトロ ビジネス短信 2026年9月14日「サウジアラビアの東西パイプライン、無人機攻撃受け操業停止」(外部サイト・別タブで開きます)、ロイター(ニューズウィーク日本版 2026年9月22日)「サウジ東西パイプライン稼働再開、紅海側で石油輸出22日にも開始」(外部サイト・別タブで開きます)、テレ東BIZ 2026年10月7日「パイプライン稼働を確認 サウジアラビア高官」(外部サイト・別タブで開きます)、CNN 2026年10月15日「Two cargo ships sunk in Strait of Hormuz as Iran ramps up attacks in run-up to midterms」(外部サイト・別タブで開きます)、時事ドットコム 2026年10月15日「ホルムズでコンテナ船沈没 「違法航路」で機雷接触と主張―イラン」(外部サイト・別タブで開きます)
トップのシミュレーターで試してみる
トップページの有事・需要変動シミュレーターでは、輸入が止まる割合・消費の増減に加え、「迂回による到着遅延」の日数を入れて、備蓄が何日もつかを試せます。入れる値は仮定で、予測ではありません。有事がいつ終わるかへのみんなの予想は「みんなの予想」にあります。
状況を自分で確かめるには
- 外務省 海外安全情報(外部サイト・別タブで開きます):地域ごとの危険情報。
- 資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」(外部サイト・別タブで開きます):備蓄の日数と量(トップページは毎日の推計)。
- IEA(国際エネルギー機関)の発表(外部サイト・別タブで開きます):協調放出や市場の見方。
- 本サイトの日本周辺のタンカー:船舶の位置情報(AIS)から集計した隻数。
本サイトは非公式で、攻撃の時期や可能性の予測はしていません。
出典:外務省 海外安全情報(海外安全ホームページ)(外部サイト・別タブで開きます)(2026年10月確認)、IEA「IEA Member countries to carry out largest ever oil stock release…」(外部サイト・別タブで開きます)(2026年3月11日)
ホルムズ海峡と日本の石油の疑問と回答
Q1ホルムズ海峡が使えなくなったら、日本の石油はどうなりますか?
2025年実績で、日本の原油輸入の約94%は中東からです。ホルムズ海峡の通航に支障が出ると、輸入に大きく影響します。備蓄は、経済産業省の公表値(2026年10月20日集計時点)で合計203日分です。輸入がすべて止まり、1日あたりの推定消費量と同じ量を使い続けると仮定した目安です。海峡を通らずに運ぶ手段は、パイプラインの余力(EIAの2025年6月の見積もりで通航量の約13%。迂回路だけで全部を運ぶのは難しい見通し)と、中東以外からの調達(2026年5月12日時点の見込みで、実績は未確認)です。2026年の報道では東西パイプラインの送油量がこの見積もりの能力より多いとされ、余力は変わっている可能性があります。実際にどれだけ足りなくなるかは、止まる量と期間、備蓄・迂回路・中東以外からの調達・需要の抑制がどこまで働くかによるため、このページでは見通しを断定しません。
Q2ホルムズ海峡が使えなくなったら、日本の石油備蓄は何日もちますか?
経済産業省の最新公表値(2026年10月20日集計時点)で、合計203日分です(国家備蓄102日分、民間備蓄96日分、産油国共同備蓄5日分)。これは、輸入がすべて止まり、1日あたりの推定消費量と同じ量を使い続けると仮定した目安です。輸入の一部が続く、需要を抑えるなどの場合は、減り方が変わるため、この日数どおりになるわけではありません。トップページのシミュレーターで、止まる輸入の割合や、迂回による到着の遅れを変えて試せます。
Q3日本の原油は、どのくらい中東に頼っていますか?
経済産業省の資料では、2025年の日本の原油輸入は日量236万バレルで、うち中東は222万バレル(約94%)です。ホルムズ海峡を通る石油は、世界でも大きな量です。EIAによると、2024年の平均で日量約2,000万バレル(世界の石油消費の約20%、世界の海上石油貿易の4分の1超)で、中国・インド・日本・韓国の4か国で海峡を通る原油・コンデンセートの69%を受け取っています。IEAは、2025年の平均も日量2,000万バレルで、世界の海上石油貿易の約25%としています。
Q4ホルムズ海峡を通らない迂回路で、石油は足りますか?
迂回路だけで海峡を通る量の全部を運ぶのは難しい見通しです。EIAは、サウジアラビアとUAEのパイプラインで海峡を迂回できる余力を、日量約260万バレルと見積もっています(2025年6月)。通航量(日量約2,000万バレル)の約13%にあたります(本サイトの計算)。EIAは、パイプラインが平時は全力では動いていないことを前提に、この余力を見積もっています。IEAも、迂回の選択肢は限られるとしています(2026年3月11日)。2026年の報道では東西パイプラインの送油量がこの見積もりの能力より多いとされ、余力は変わっている可能性があります。経済産業省の資料(2026年5月12日時点)には、前年同月並みの生産に必要となる原油量のうち、5月分は約6割、6月分は約7割以上を、中東以外から代替調達できる見込みとあります(日本の原油輸入に占める中東の割合とは別の数字です)。見込みの数字で、5月・6月はすでに過ぎた月ですが、その後の実績は確認できていません。
Q5いまのホルムズ海峡の状況は、どこで確かめられますか?
外務省の海外安全情報(海外安全ホームページ)で、地域ごとの危険情報を確かめられます。石油の供給については、IEAや資源エネルギー庁、経済産業省の公表資料が一次情報です。本サイトは非公式で、攻撃の時期や可能性の予測はしていません。
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